目に砂

人生の人生

ドラマ感想:パンとスープとネコ日和

原作は読んだことがないです。あとこの記事は敬称略です。

かつて私がたぶん高校生くらいのときに母が「かもめ食堂」を大層気に入っていました。静かな雰囲気がよいとのことで、母はそういう作品を好む傾向があります。私はなんだかしゃらくせえなと(観もせずに)思ってn年。なんとなく母が好きなものを理解したい気持ちになり、アマプラでちょうどかもめ食堂をみつけたので観ようと思ったら配信がまもなく終わりそうなこちらのドラマを先に観ようと思いました。しゃらくさ期の私は「あーはいはい、小林聡美もたいまさこ片桐はいりが出てくる系のやつ(母はほかに『めがね』を観ていました。なお片桐はいりはこれらの中では『かもめ食堂』にしか出演していないのでド偏見です)」みたいな感じでいましたがそもそも原作者または監督が被ってるんですね。なお母が好む映画たちと本作は出演者は同じでも監督が違いますので作品の雰囲気ももしかしたら違うかもしれず、私は本来このドラマは観なくてもよかったかもしれません。

2話までは面白く観ました。ただ3話目から主人公の嫌なところが気になり始めて、あまりすっきりしないまま終わってしまった感があります。モヤモヤしたポイントは3点あって、「家を空けるときに窓を開けたままにするのは猫の飼い主として無責任だ」「自分だけ血のつながりがあると知っている状態で何も知らない相手と仲良くなろうとするのはアンフェアだ」「訳知り顔で他人を『あなたっておもしろいよね……いい意味でだよ』などというのは卑怯だ」です。

まず窓を開けっぱなしにして飼い猫を逃してしまった件。これは主人公の過失です。新しい居場所を探しに行ったのかもとかなんとかもっともらしいことを言っていましたが世の中には猫を虐待するために保護する信じられない人間が存在するので、一度引き取った猫は(猫に限らず)己の手で守り育て看取る覚悟が必要なのではないでしょうか。

次に腹違いの弟に自分だけそうであると知っている状態のまま会いに行き交流を深めていることのアンフェアさ。相手はもしかしたらそのようなことは知りたくないかもしれませんが、私はあまり誠実ではないように思いました。もしかしたら作品時間軸よりも後になって切り出す可能性はあるかもですが、作中で行われないことは私の感想に関わりがないので。

最後に「いい意味でおもしろい」の卑怯さ。そもそも他人をおもしろがるのって馬鹿にしているのとあまり変わらない気がします。俯瞰するからおもしろがるんです。見下していなければ出ない感想です。いい意味でなどつければすむことではない。「自分には持ちえない感性があり、そこから生まれる発想が自分に新たな視点を与えてくれる。新鮮な気づきがある」とかそういうつもりだったのかもしれませんが、それならそういえばよろしい。「おもしろい」はなんかすごく嫌です。作中では相手が聖人みたいな人だったのでなにごともありませんでしたが。

これはあくまで実写化作品なので、原作小説を読んだらまた違った印象になるのかもしれません。映像にするにあたり改変された要素はあるでしょうから。そういった意味で原作への興味は強まりました。犬派ですが。