目に砂

人生の人生

ゲーム感想:未然探偵 The Protea Cases

リアリティの塩梅の話ばかりです。

フルコンはしてないです。ストーリーの記憶を薄れさせてから他のEDを目指したほうが長く楽しめてよいと思ったのでしばらく寝かせます。例によってあえてBADEDを埋めることはないかもです。加齢とともにハピエン厨になってきた気がします。希望は大事。世の中があんまし明るくないからかもしれませんが。LOVEマシーンが流行した背景にも似て。つまり私が年々悲観的になってきている……ってコト!? すみません、よくわかりません。

ひとつ前の記事のゲームを作ったところの作品ですね。舞台がとうとう現代日本(に似たフィクション世界)になりました。主人公は警察官になりたかったのですが夢破れてしまい、探偵事務所で助手として働く女性です。いやしかし主人公のファッションが社会人のそれではない……なくない? 服装なんて好き好きではあります。しかしながら、仕事のときはもうちょっと信頼感を与えられそうなお洋服のほうが依頼人も安心するんじゃないかな……って社会人の私は思いました。職業の性質上、依頼人はかなり踏み込んだお話などもしなければならないわけですから信頼は大切です。主人公以外の社会人たちが現実味のある服装だったのでなおさら。ぱっと見では高校生探偵のお話なのかと思ったんですよ。でファンタジー学生服着ているみたいな。違いましたね。

舞台が現実に近ければ近いほど現実的でない部分が気になってしまうところありませんか。私はあります。現実からかけ離れた舞台であれば「それがこの世界のスタンダードなんだなあ」と受け入れられるものが、「この世界でこの人はあえてそうしている……なぜ?」になるのが現代日本(に似たフィクション世界)舞台ということです。リアリティのない部分について「敢えてそうしている」ものとして意図を考えてしまう。意図がわからないとそれがすごく気になってしまう。

個別EDを持つ登場人物のなかにはひとりだけ大学生がいるのですが、彼は銀髪ロングを三つ編み(ロープ編みかもしれない、ちょっとわからない)にしてなんかメンズナックルみのあるアクセサリーをつけてなど挑戦的な装いをしています(メンナク識者ではないので本当は全然そんなことはないかもしれません、すみません)。登場人物全体を見ても浮いているのですが、そもそもがややアウトロー気味でデリカシーにも欠ける人物として描かれているようなので(焼いたチキンのパリパリの皮のところだけ独り占めするのは六法こそ犯していませんが私という法には触れています)キャラクターとしては一貫しているように思われます。ただ、主人公は過去の出来事からやや気弱なところがありつつも真面目で正義感の強い人物として描写されていると思ったので、そういう人が仕事をするにあたってこんな子どもみたいな服を着るのか? というのはかなり疑問です。

リアリティなどと言い始めたらそもそもの話、警察が極秘に開発していたアプリをパンピーが容易にインストールできてしまうことも、それを使用するのを現役の警察官が容認してしまうことも情報管理にめちゃくちゃ厳しいであろうIT企業に従業員でもない人物の妹が簡単に入れてしまうこともあってはならないわけです。でもそれは物語に必要な都合であるとわかります(このあたりの許容範囲はかなり個人差があるところでしょうね)。

個人的には、物語に必要な都合の範囲における現実からの逸脱には違和感を覚えません。現代ファンタジーということです。しかし、物語に特に関わらない部分でそれが起こるとものすごく気になる……必然性がないので。

そのようなことを思いつつも、過去作(少女首領の推理領域、ゴシックマーダー)より集中してサクサクプレイできたのは本当のことです。馴染みのない言葉がないからか謎解きがやさしくなったのかプレイ時の私の脳みそのコンディションがよろしかったのかUIの細かな向上かは定かではありません。でも明らかに「カーソル移動できねえ!」と思った回数は減りましたのでUI説が最有力です。操作性って重要ですよね。作品への没入度が大きく変わってしまいます。いかにすばらしい物語であっても操作性が悪いと物語にリーチできなくなりかねません。

少女首領〜と比較してよかった点は個別EDを持つ登場人物たちが個別EDを持つに足ると感じられたことです。先述の銀髪三つ編み大学生もちょっと個性が尖っているだけで主人公には好意的でしたので、主人公が心を寄せても違和感がない。大人たちはそもそもが正義の側に立つ人たちなので申し分なしです。ただ、主人公の年齢を考えて私が見たEDは大学生でした。甘さは特にないと思いましたが今後の可能性を予期させるもので、物語の期間を考慮するとちょうどよいのではないかと。ただ、作中で2人をつなげていたものはED時点ではなくなってしまったので、彼の期待するようなおもしろいことは今後はそう起こらないようにも思います。長続きはしない可能性も高そうだなと。夢女のはずなのにこのごろ夢がないことを考えてしまいます。もうちょっと世の中明るくなってくれないかな……私が楽観できる程度に……。