目に砂

人生の人生

ゲーム感想:パラダイスキラー

女主人公なのと、ゲーム紹介ページのスクショで登場人物がジョジョ立ちしているようにしか見えなかったことから購入を決断。なお私の推理力はカスです。衝動のままに生きているので……

 

世界観が独特で、あらすじを読んでから臨んでも慣れるまでは時間がかかるかも。邪教集団「シンジケート(別にこれは教団名ではないし固有名詞でもない)」が不老不死の完全な楽園を作る試みを繰り返すさなかで起きた異例の殺人事件の謎を解けって感じです。

主人公はどうやら彼らが信じる以外の神に唆されたことがあるらしく、パラダイスを危機に晒した罪で3000年かそこらのあいだ「肉体は仮死状態で意識だけはある」状態で何もないところにずっと放置される罰を与えられていました。それまでれっきとした捜査官として働いていたのですが、マエがついたことで人を解かれた結果なのか「捜査オタク」とばかり呼ばれます。ムカつく。

主人公を含めろくでもない宗教の集団ですから、自分たちの繁栄のためによそから大量の「庶民」を拉致してきて奴隷のように働かせ、自分たちの神を信仰させ、島が破綻する際は破棄するということを繰り返しています。全員滅びさったほうがたぶんいいはずですが、それはそれとしてゲームの趣旨に従って殺人事件の真実を明らかにしていかなくてはなりません。

推理が苦手でも大丈夫。証拠さえ集まっていれば主人公が勝手に裁判で組み立ててくれます。とにかく証拠を十分に集めればいいのです。

 

女主人公作品を吸って生きている人間としてはそうですね……キャラクターさえ気に入ればおいしい思いをするかもしれません。主人公は離婚歴がある独身女性で、登場人物のうちおそらく二人とは後腐れのない付き合いがあったと思われます。ただまあ、ゲーム中は捜査官と容疑者という関係なので歓迎されないどころか罵られることもままありますし、そもそもが先に述べたとおりろくでもない集団ですから。人物、世界観の設定自体はしっかり練られているのでクールに楽しみましょう。

 

よかった点を4つ挙げます。

まずは独特の世界観。慣れるのには時間がかかりますが、このゲームにしかない空気感を楽しめます。血まみれです。認証も血、現場にも血、祭壇にも血、宗教施設には血の噴水。どう考えても正気の沙汰でないのになんだかトレンディな音楽が流れている不思議。屋内に入るとだめですが、景色は悪くありません。島なのでどこへ行っても海がありますし……あーやっぱりだめでした、禍々しいオブジェがそこかしこにあるし、全裸の悪魔がなにもかもおっぴろげたかっこうでどこにでも出没する。

次に推理は別にしなくてもいい。推理したい勢にはむしろ悲しみポイントでしょうけれど、私はこれを雰囲気を楽しみつつ他人の生殺与奪を握るゲームだと思っているので、そこまで頭を使わなくていいのはよかったです。裁判もサクサク進みます(体感では)。証拠さえ集まれば事情はおおよそ飲み込めます。そのうえで告発するしないを選べるので、黒だと知っている人物をあえて放置する汚職捜査官ごっこも楽しめます。楽しみました。

それから主観視点で3Dマップを走るんですが、万が一落下しても死にません。どんな高所からでも死にません。海に沈んだらどうやら死にますが神によって復活させてもらえます。捜査下手でも安心。高いところが苦手な人は覚悟したほうがっていうかおすすめしないまである。

なによりわんちゃんが出てくるし、おやつをあげることができます。登場人物にも犬を飼っている人がいます。

 

気になる点は3つ挙げます。

まずは上への移動力がないのに簡単に落ちること。この島にはバカと煙が住んでいるので屋上とかにアイテムがあることも多く、ぴょんぴょこ飛び回る必要があります(屋上には外から回り込むからです)。しかしながら主人公は道具ひとつ持たない人間です。えっちらおっちら登ったと思ったら操作ミスで即落下です。紐なしバンジーというやつです。どこから落ちても死にはしないとはいえ、徒労は徒労です。あと一度建物と壁の間に落ちて復帰できなくなりました。マンションのてっぺんから飛び降りるのは考えものですね。

次に地図が見づらいこと。小さな島なので拠点間における水平方向の距離はさほどないのですが、バカと煙が住む島なので上方向の移動はかなりあります。このため、面積のわりに狭く感じない……のはいいとして、地図はあくまで水平方向でしかないし、現在地が「いまはこの区画にいるよ!」程度にしか表示されません。方向感覚に自信のないプレイヤーは苦労したことでしょう。なにを隠そう私がそうなので。

大変なのはわんちゃんを救えない(と思われる)こと。わんちゃんはシンジケートの一員ではないので、島とともに破棄されてしまうと思うんですよね……犬を島に連れてくるんじゃない! 人間だけにしておきなさい!

 

とっつきづらいところはあるかもしれませんが、3D酔いせず、高所が苦手でなければやってみてほしいですね。