目に砂

人生の人生

ゲーム感想:少女首領の推理領域-黄金島の密約-

タイトルが長いよ〜

 

乙女ゲー的な要素のあるミステリーADVみたいなやつです。前作? というか同じところから出ているゴシックマーダーはプレイ済みでしたが、私が慣れたのか難易度が下がったのかうっかり死みたいなのはなく、真相解明はスムーズでした。話のスケールはこちらの方が大きくてわくわくしました。全体に今作のほうが好きだと感じましたね。

 

タイトルの時点で主人公が首領になるのは明らかなのでそりゃ当然現首領である実父は退場するんでしょうけど、亡くした母の弔いのために10年ぶりに訪れた故郷で再会した唯一の肉親である父を即亡くすのしょっぱなからヘビーが過ぎませんかね。悲嘆に暮れても誰も責められないと思うんですけど、父の死がきな臭いあまりに真相解明に闘志を燃やす主人公、ハートが強いし偉すぎる(別にここで失意のまま帰っても偉くないわけではない)。私は女主人公のロールプレイもしますが、同時にひとりの大人として物語を俯瞰しているので。

父の死の真相を探るためには地元を牛耳る複数のマフィアの協力を得なければなりません。とはいえ出てくるやつ全員容疑者だと思うし、そうでなくともマフィアなのでみだりに煽って不興を買って消されたくはありません。ベタベタしすぎず冷たくしすぎずを心がけていたところおそらくボディガードの人のEDを迎えた感じでした。最後にCGつきで出てきたということはおそらくそうなんだと思うんですよ。つまり私はまだマルチEDのうちひとつしか見ていないのです。でも天涯孤独なりたてほやほや少女のロールプレイをするとしたらそうなっちゃうと思うんですよね。敢えてバッドを回収するのがあまり好みではないからフルコンプはしないかもです。あと天涯孤独なりたてほやほや少女ロールプレイ的観点からはこいつのルートがあってはならないだろうというキャラクターが存在するので、多分それも埋めないでおこうかと。ビジュアルは一番好きなんですけどね。

全員のEDを見たわけではないのに糖度の話をするのも適切ではないかもしれませんが、作中の経過時間を考慮すれば妥当な糖度ではないかと思います。恋をしている場合ではないけれど、吊り橋効果が発揮されるには十分な状況ですし。

 

攻略難易度は特に難しくはない感じました。テキストをきっちり読んでいれば問題ありません。ログを辿るにも限界があるため、読み飛ばすとダメな感じです。推理はちょっぴりで、国語の問題のように文中から解を見つけ出すのがほとんどです。現代文が得意だった人はきっと得意でしょう。とはいえチャプター選択してちゃちゃっとやり直せるので、取り返しがつかないみたいなことはないと思います。私は推理そのものを楽しむほうではなく、物語に重きを置いているので、快速でEDまで進めるこの難易度はありがたく感じました。めちゃめちゃ謎解きまくりたいぜ! という方には物足りないかもしれません。

 

前作?で気になっていた点で「マップ画面でどこを選択しているのかわかりにくい」というのがあったのですが、今作では特にそういうことはなかったです。あれは私だけがそう感じたのか、そもそもわかりにくい配色だったのかは不明です。前作はそれでわけのわからない移動をしてモタモタするのがちょっといやだったので、今回それがないのはよかったです。

ただ、前作から引き続き気になる点である「探索画面でいい感じにカーソル移動ができない」はもし次回作があるなら改善できないかなあと思います。私の操作の問題かもしれませんが調べたいポイントになかなかカーソルを合わせられず、最終的にはタッチ操作でなんとかしました。画面にベタベタ触るのはあまり好きではないので、できれは十字キーかスティックで済ませられるといいのですが。

 

前作でうっかり死をしたというのは冒頭に書きましたが、そういうのがない代わりに……別に代わりではないか……今作は死体の描写がエグくなったような? という気がします。身元が割れないように念入りに顔とか潰してあるやつとかが入った箱のCGみたいなのって前作にもありましたっけ? もっとも私は真流行り神を通ってきたのでうろたえませんでしたが。

 

コンプしないと決めているとしてもよい買い物だったと思います。

ゲーム感想:Tangle Tower

年明けか年末かそのくらいにやったやつです。

 

バグか仕様かわからない部分がありました。

謎解きは程よく楽しみながらできます。

 

ニンテンドーショップで見かけておもしろそうだったので買ってみましたが、悪い判断ではなかったと思います。

このごろは女性主人公ものばかりを好んで買っていますが、この作品は探偵の男性が主人公です。ただ助手の女性が一緒に推理している部分もあるので、実質W主人公でいいよねって思います。あと登場人物に女性が多いのでそのあたりもよい。主人公は二人ともほどよくふざけていてほどよく真面目になります。遠慮のない掛け合いがよいかんじ。

 

探偵と助手の二人が何者かの依頼によって「タングルタワー」なるお屋敷で起きた殺人事件の謎に挑むことになりました。ロケーションも住人たちも見た目からして超あやしい! という感じの導入です。

 

気になるポイントを調べて手がかりを集める→謎解きするの繰り返しで進みます。推理自体は難しくありません(バックログがないのにセリフを見逃してしまってなんの話だかわからなくなることはありました)。手がかりを見つけるためにパズルを解かなければならないときがあり、こちらは私にとっては程よい難度(基本的にはストーリーの妨げにならない程度だが、ものによっては考えさせられる)と感じました。一箇所、パズルのピースが足りないような気がしたんですけどなくても大丈夫でした。ただ、他の人のプレイ動画を見たところやっぱりピースが足りませんでした。クリア後に解放されるおまけ要素でもフリーズしてどうにもならなくなったりと、移植に際して細々としたバグが取り除かれずにリリースされてしまったみたい。

 

特に気に入ったのはキャラクターで、先述のとおり探偵と助手の掛け合いというかパワーバランスが絶妙です。特に助手のほう、落ち着いた話しかただけれど決してお堅いとか冷たいとかいうことはなく、おふざけには全力で乗っかる愉快な人で、個人的にはあまり見かけないタイプで新鮮でした。

海外のキッズアニメのようなデフォルメのかなり効いたキャラクターデザインは正直なところちょっと怖いんですけど、人物ごとのアニメーションなど飽きさせず疲れさせない絶妙な情報量で快適にプレイできたと思います。

 

全体的にはおもしろかったんですけど、エンディングがいまいちスッキリしないというか、続編をものすごく意識していますみたいな最近の映画の悪いところのようなものがこのゲームにも感じられてモヤモヤを覚えました。続編があるにせよ、一つの作品はそれはそれとしてきれいに終わらせてほしい、それが私の望みです。

 

続編、出るのかなあ。

映画感想:アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド

サブタイトルいる? いらんて。

 

自己投影向けコンテンツを追い求める夢女としてはそういったものの行き着く先の一つになりうる題材だと思ったので観るって決めていました。私は真面目なキモオタとして自分の好きなものには真摯でありたいからです。

 

結論から言うと観てよかったと思いますが心の落ち込みがすごい。主人公の抱く葛藤のすべてに共感してしまうし、上映中6〜7割の時間泣いていました(そういう映画ではないです)。

 

自分の心を満たすもの、肯定してくれるものは生活に必要です。なにも成し遂げてなくても、世の中に価値を示さなくともかまいません。それらは富や名声をもたらし裕福な生活を実現するためには必要でしょうけれど、生きるための要件ではありません。生きることに要件などないのです。誰にも誰かの生にケチをつける権利などありません(ケチをつけるのは自由ですが無意味ですし、誰も従いません)。あなたも私もそれ以外の人もすべて、ただ存在するだけでいいのですし、幸せになっていいに決まっているのです。

ただ、まあ、こちらに都合よく無条件に自分を甘やかすものはあくまでコンテンツのなかにとどまっていてほしいかなというのが正直なところです。犬を家族に迎えるのが難しい人がAIBOに愛を注ぐのとはわけが違う……と私は思います。犬は庇護の対象で、家族と呼べども関係は対等ではありません。自分にとっての理想的な伴侶が与えられるのはおそろしいことです。自由意志を持たず、こちらの幸せのために奉仕する役割を持った存在を対等な相手として扱うことはさまざまな面で不可能でしょう。

 

私は何者でもない私や、何者でもないあなたをそれでもかまわないのだと肯定し続けたいし、自己投影向け乙女ゲーをつくるのもその一環であると最近では考えています。でもそれは必要な時にだけ自分で選び取るものであって、絶え間なく浴びせられるものではない。そういったものは「常にどこかにあり、必要なときには頼ってもいいのだ」と信じていられるからこそ安心して現実を生きていけるものであり、生活に根付くべきものとは違うのではないでしょうか。

 

似たような題材の映画で「her/世界でひとつの彼女」も以前アマプラで観ました。その時はそんなに落ち込みませんでした。本作とは人工知能に与えられた役割が異なるからだと思います。サマンサのほうが行動に自由があるし(彼女は女性の声を持つ人工知能であり、アンドロイド……ガイノイドと書くべきでしょうか……ではなくOSです。理想の伴侶として振る舞わなければならないなどということはないのです。そんな役割ははなからないのです)。

同じような題材にしても描きたいものが違う(herは恋愛そのものは過程に過ぎず、主人公がその経験から大切なことを学んで成長する話である)からというのは当然なんですけれど、所有者に都合がよくて当然のものをまるで対等であるかのように愛して依存する(生活のなかに組み込む)ことへの精神的ハードルの高さがまるで違うのです。どちらの映画が優れているとかではなく、自己投影向けコンテンツを追い求める夢女という視点における刺さりかたが違うというだけの話です。いずれも観てよかったと思うので機会があれば観てみてね。

 

夢女はときどきこういうコンテンツを摂取して己のあり方を見つめ直していったほうがいいと思います。落ち込むけど。

ゲーム感想:パラダイスキラー

女主人公なのと、ゲーム紹介ページのスクショで登場人物がジョジョ立ちしているようにしか見えなかったことから購入を決断。なお私の推理力はカスです。衝動のままに生きているので……

 

世界観が独特で、あらすじを読んでから臨んでも慣れるまでは時間がかかるかも。邪教集団「シンジケート(別にこれは教団名ではないし固有名詞でもない)」が不老不死の完全な楽園を作る試みを繰り返すさなかで起きた異例の殺人事件の謎を解けって感じです。

主人公はどうやら彼らが信じる以外の神に唆されたことがあるらしく、パラダイスを危機に晒した罪で3000年かそこらのあいだ「肉体は仮死状態で意識だけはある」状態で何もないところにずっと放置される罰を与えられていました。それまでれっきとした捜査官として働いていたのですが、マエがついたことで人を解かれた結果なのか「捜査オタク」とばかり呼ばれます。ムカつく。

主人公を含めろくでもない宗教の集団ですから、自分たちの繁栄のためによそから大量の「庶民」を拉致してきて奴隷のように働かせ、自分たちの神を信仰させ、島が破綻する際は破棄するということを繰り返しています。全員滅びさったほうがたぶんいいはずですが、それはそれとしてゲームの趣旨に従って殺人事件の真実を明らかにしていかなくてはなりません。

推理が苦手でも大丈夫。証拠さえ集まっていれば主人公が勝手に裁判で組み立ててくれます。とにかく証拠を十分に集めればいいのです。

 

女主人公作品を吸って生きている人間としてはそうですね……キャラクターさえ気に入ればおいしい思いをするかもしれません。主人公は離婚歴がある独身女性で、登場人物のうちおそらく二人とは後腐れのない付き合いがあったと思われます。ただまあ、ゲーム中は捜査官と容疑者という関係なので歓迎されないどころか罵られることもままありますし、そもそもが先に述べたとおりろくでもない集団ですから。人物、世界観の設定自体はしっかり練られているのでクールに楽しみましょう。

 

よかった点を4つ挙げます。

まずは独特の世界観。慣れるのには時間がかかりますが、このゲームにしかない空気感を楽しめます。血まみれです。認証も血、現場にも血、祭壇にも血、宗教施設には血の噴水。どう考えても正気の沙汰でないのになんだかトレンディな音楽が流れている不思議。屋内に入るとだめですが、景色は悪くありません。島なのでどこへ行っても海がありますし……あーやっぱりだめでした、禍々しいオブジェがそこかしこにあるし、全裸の悪魔がなにもかもおっぴろげたかっこうでどこにでも出没する。

次に推理は別にしなくてもいい。推理したい勢にはむしろ悲しみポイントでしょうけれど、私はこれを雰囲気を楽しみつつ他人の生殺与奪を握るゲームだと思っているので、そこまで頭を使わなくていいのはよかったです。裁判もサクサク進みます(体感では)。証拠さえ集まれば事情はおおよそ飲み込めます。そのうえで告発するしないを選べるので、黒だと知っている人物をあえて放置する汚職捜査官ごっこも楽しめます。楽しみました。

それから主観視点で3Dマップを走るんですが、万が一落下しても死にません。どんな高所からでも死にません。海に沈んだらどうやら死にますが神によって復活させてもらえます。捜査下手でも安心。高いところが苦手な人は覚悟したほうがっていうかおすすめしないまである。

なによりわんちゃんが出てくるし、おやつをあげることができます。登場人物にも犬を飼っている人がいます。

 

気になる点は3つ挙げます。

まずは上への移動力がないのに簡単に落ちること。この島にはバカと煙が住んでいるので屋上とかにアイテムがあることも多く、ぴょんぴょこ飛び回る必要があります(屋上には外から回り込むからです)。しかしながら主人公は道具ひとつ持たない人間です。えっちらおっちら登ったと思ったら操作ミスで即落下です。紐なしバンジーというやつです。どこから落ちても死にはしないとはいえ、徒労は徒労です。あと一度建物と壁の間に落ちて復帰できなくなりました。マンションのてっぺんから飛び降りるのは考えものですね。

次に地図が見づらいこと。小さな島なので拠点間における水平方向の距離はさほどないのですが、バカと煙が住む島なので上方向の移動はかなりあります。このため、面積のわりに狭く感じない……のはいいとして、地図はあくまで水平方向でしかないし、現在地が「いまはこの区画にいるよ!」程度にしか表示されません。方向感覚に自信のないプレイヤーは苦労したことでしょう。なにを隠そう私がそうなので。

大変なのはわんちゃんを救えない(と思われる)こと。わんちゃんはシンジケートの一員ではないので、島とともに破棄されてしまうと思うんですよね……犬を島に連れてくるんじゃない! 人間だけにしておきなさい!

 

とっつきづらいところはあるかもしれませんが、3D酔いせず、高所が苦手でなければやってみてほしいですね。

ゲーム感想:真 流行り神3まで

※旧作はやったことないです

 

評判をろくに知らないまま女主人公じゃん(しかもセールじゃん)って飛びつきました。毎回引き伸ばし引き伸ばしみたいなEDだけどきっちり完結させる予定はちゃんとあるのかなあっていうのが気になるところです。

 

1と2〜3でちょっと毛色が違って、1はルートによって登場人物の設定がまるきり違うパラレルワールドの話、2〜3は第n話で繋がった続きもの、ジャンルとしても1はスプラッタとかサイコホラーとか動的な怖がらせ方、2〜3はもうちょっと静的な怖がらせ方に感じました。個人的には1のような「このルートでは各人物はどういう配役なんだろう?」といったワクワク感はそれはそれで楽しめますが、続きものであるほうが各登場人物に愛着を持ちやすいのかもしれません。

個人的には単体として楽しむなら1のような形式が好きです。ただシリーズものである以上2〜3のやり方のほうが続けやすいのはわかります。実際旧作は2〜3の方式だったようですし。

 

女主人公作品を吸って生きている人としての感想は正直なんとも言えません。主人公は他者からの評価と実際の描写とに悪い意味での差異があるように感じるので、そこはモヤモヤします(いや私そんなすごいことしてないが? という困惑)。

1はルートによってはちょっと特定のキャラクターといい感じになったように見えますが、基本的にはすべてのルートで命の危機なのでそんな場合ではないし、メインルートであり続編へつながる正史となるブラインドマン編ではそういった描写はなかったように思います。

2〜3では決まった相棒と事件に立ち向かうので信頼は深まっていきますし、主人公側から若干意識しているような描写もあります。ただ相棒側のルートにラブコメ展開のために投入されたのでなければなんのためにいるのか今のところちょっとよくわからないポジションのキャラクターもいるので、主人公たちはあくまで爽やかな信頼関係に留まるのではないかと予想しています。

 

よかったと思う点はシリーズが進むごとに前作の反省を生かしてるんだなあと感じられるところです。1はなんといっても謎のミニスカ勤務というゲームをやらなくとも突っ込まざるを得ない部分にはじまり、警察としてどうなの? みたいな言動も気になりました。立ち絵と一枚絵の絵柄がかなり違うことから、いきなり新たなる登場人物が……?と勘違いしかけたこともあります。2ではきちんとスーツを着ていますし、人格も落ち着いたような気がします。3では立ち絵と一枚絵との乖離もほぼなく、混乱しませんでした。

 

気になった点はいろいろありますが、ここでは4つ挙げます。

まず女性キャラクターがのきなみオネエ言葉なのはどうしてなんでしょう。この手のゲームでは過去に「送り犬」をやったことがありますが、あれもオネエ言葉でした。不文律でもあるんだろうか。捨てちまえそんなもん。

あと1で出てきた友人のことを2以降の主人公がまったく思い出さない。先輩のことはだいぶ美化された状態で頻繁に思い出すのに、存命の同期は名前すら出ない。友だちを大事にしろ。

それから人格が改善されたとは言ったものの、3においては他のキャラクターも含めて他人のセクシャリティを邪推したうえでおちょくるようなモノローグ・発言が見られたのはいったい誰が得するんだろうって思いました(一番ダメだと思ったのは如月の「タチとネコならネコよね?」みたいなところ)。ここはむしろ改悪かなあ。

科学ルートがいうほど科学的でもないのも気になります。科学ルートを設けること自体に無理があるのでは、という気もします。2つのルートがあるのはいいとして、名称は見直したほうが違和感がないのかも。旧作はどんな感じだったのか気になります。

 

金髪の王子様の名前が全然明かされないためにわりと真面目な場面でもいろんな人から金髪の王子様って呼ばれてるのはなんかもう意地でもそれを貫く姿勢でいてくれたらいいと思います。

 

次回作が出るかはわからないけど問題が解決しないまま終わったのできちんと完結させるところまで頑張ってほしいなあって思います。誤字も頑張って減らしてほしい。

それと主人公は時々でいいから美鈴と関本のことを思い出してほしいな。恩だってあるだろ。

 

ゲーム感想:When The Past Was Around

こないだWhen The Past Was Aroundをやりました。その感想などです。

 

買い切り型のゲームは絶対に完結しているところがいちばんの魅力ですね。(プレイヤースキルの問われる作品はさておき)物語の終わりを見届ける権利を買ったようなものです。

私のこのごろはというと日々スマホアプリのログボをもらって課金欲と戦う日々ですが、貢げども貢げどもその暮らしに終わりはないのです。サ終しない限り。

 

冒頭のゲームですけど、恋人を亡くした女性が過去のことを思い出しながら立ち直るまでのお話です。謎解きをすることで次のお話に進めるのですが、これは頭のなかを整理している描写なんでしょうか。

謎解きの難易度はおそらく高くありませんが、ちょうちょがメチャたくさんいるおうちに住み、そのちょうちょの数を数えなければならない仕様があるので、たとえイラストでもちょうちょを見るのがつらいおともだちはやめておきましょう。私はギリいけました。あと少しリアルだったら投げてたかもね。

 

このゲームの魅力だと感じた点はふたつあります。

ひとつは絵柄があっさりしているところ。明瞭な線と明瞭な塗りで低めのコントラスト。人物に肉感はありません(この作品にそれは必要ないし)。洗い上がって乾燥した清潔なタオルを私は連想しました。こういう感じは安心します。

 

もうひとつは……これが重要なのですが、恋人の人間としての顔が不明なところ。いや、マジでみみずくの頭をしていたのかもしれませんけれど、他の登場人物がすべて人間であったことを考慮するとそんなことはないと思うんですよね。

この作品はほとんどが回想で構成されています。つまり主人公の思い出を見ているんですね。思い出は美化されるといいますが、私としては美化も間違いではありませんが強調されるものというほうがより適切ではないかと思います。すてきだと思ったことはよりうつくしく、ひどいと思ったことはより醜く。過去のことを語るとき、少なからず脚色を加えてしまいませんか? 言葉にせず思い出すだけでも同じことが起きる……ような気がしています。

この作品において恋人の人格はおそらく(主人公がそれを慕わしく思い出しているために)美化されていることでしょう。そのうえ容姿は明らかでない、つまりさらなる美化の余地があります。それがとても上手に作られていると感じます。私たちはその人をいくらでも理想的に想像できるので。物語の空白を楽しむということですね。

 

ところでこちら、Florenceの影響を受けているだろうというレビューをどこかで見たのでそちらもいずれやろうと思います。今はその時ではないですが。

持ち手のねえナイフ(不便)

長所とかの話をします。

 

長所とか短所とか……つまり特性は相対的、流動的なものです。自分がそのときつるんでいる、またはつるみたくはないが所属せざるをえない集団のなかでちょっとだけ飛び出た特性にすぎないからです。つまり集団が変わればなにが飛び出るかも変わるということですね。小学校の優等生が大学の落伍者ということもままありますし(私のことです)。身内では気が利かないと言われ続けた人が職場ではもっとも親切である可能性もあります。地域によって常識が異なるように、集団によってある要素における普通の基準は異なるのです。もちろんあなたの持つ要素のなかで抜きん出たものはあるでしょうけれど、それが集団になったときにどこからが抜きん出たものに該当するかはまた別なのです。

また、長所と短所は表裏一体であるとも思います(今更私がいうほどのことでもないとも思います)。真面目さも過ぎれば融通の効かなさ、おおらかさも過ぎればだらしなさ、礼儀正しさも過ぎればよそよそしさ、親しさも過ぎれば馴れ馴れしさ、いいことはいくらでも悪く言えますし、逆もできます。ある要素が過剰に出てしまった、と自分で思ったとしても、他人が同じように感じるかどうかはわかりません。その基準は人によって異なるので。他人から「○○すぎる」と言われたとしても気にやむことはないと思います。それはあくまでその人の基準に過ぎないので(あまりに色々な人から同じように言われるようなら気にかけてもいいと思いますが)。

 

「いいところを伸ばし、わるいところを直す」という考えがありますが、それは人間に適用するには難しいと思います。もしかしたらあなたは例外かもしれませんけれど、私は、そしておそらく多くの人間はその時の体調、心情、環境その他諸々にびっくりするほど影響をうけます。そしてパフォーマンスはいつだってブレブレで、厳密さはありません。機械のように精密に動作できればこの限りではありませんが、私は違います(もしかしたらあなたは機械かもしれませんが、おそらく人の形をした存在の大半はそうではないはずです)。長所も短所も同じ要素の出かたです。いつ、どの程度発揮されるのが適切かなんて後になってみないとわからないものですし、予測にも限度がありますし、前述のとおり私たちのパフォーマンスはブレブレ。

長所も短所もおなじ特性なので、長所を伸ばせば短所も伸び、短所を抑えれば長所も抑えられるでしょう。短所と苦手は別物と私は考えます。短所は長所と同じくあなたが多く持っている要素の(望まない形での)あらわれですが、苦手はそもそもあなたがあまり持っていない要素、つまりパラメータが足りなくてスキルが獲得できない状態です。短所(長所も)が過剰なら苦手は不足ということですね。

不足しており、なおかつ伸びにくいパラメータを補うよりかは、たとえ諸刃の剣であっても豊富で伸びやすいパラメータを伸ばすほうが効果は実感しやすいし楽しいはずです。苦手科目をどうしても伸ばさなければいけないのは試験のときくらいではないでしょうか。人生そのものに試験はないので、パラメータの偏りを感じているならあえてオールラウンダーを目指す必要もないでしょう(目指してはいけないということではないですが、メチャ面倒くさそうなので私は絶対やらないですという話です)。

 

私たちは持ち手のないナイフをふるいながら生きていて、ヘンなところを握っているので当然ながら時々ケガもするんですけれど、まあ人生は戦いなのでケガは仕方がないです。せいぜい「私ったらまた人間らしさをアピールしてしまった、なにせAIではないので」とでも思っておけばいいのではないでしょうか。

それはそれとして、失敗したら落ち込みますけどね。